第四楽章 ~希望~

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4-3 武枝さん、やり取りの先を託します!

武枝)《その時間を抱きしめたい》って、「生(いのち)を見つめて」きた者だからこその実感ですね。ああ、感動する!
それにしても、ちょうど降って湧いたような松山での仕事。とても偶然とは思えません。苦渋の末に手術・入院をすることになっているというタイミングで、成田さんが滅多に見せない涙をご存知の美満さん・知恵さんと再会できるなんて!

成田)振り返れば、私は繊細で豪快な女性達との出会いに恵まれて来ました。男運は少々問題ありですけどね(笑)

武枝)あらら!

成田)そうこうして、引っ越しから11日目の4月27日に慌ただしく入院し、5月1日に副鼻腔の内視鏡手術を受けました。
ドクターに叱られながらも、引っ越しやお受けした仕事をやり遂げたくて、手術を伸ばし伸ばしにしてきました。 でも、私の体は、きっと自分の想いに応えて頑張ってくれると信じていましたから、達成感と爽快感に満たされての入院だったのです。
一般的にストレスと言われることも、自分にとってワクワクすることなら、エネルギーが高まることを確信しました。「さぁ、私のGWは成田万寿美のバージョンアップ週間だ!」ってね。

武枝)出ました。得意のスピリット向上ワードですね。

成田)なるほど!確かにスピリット向上ワードですね!(笑)
このように引っ越し以降もめまぐるしく様々なことがあり、ここ数ヶ月間、またやりとりが止まっていました。それは、新次元の扉を開ける前に、まず、ここまで書き進めてきたものを発信したくなったからでした。「もし私に何かあったら、このやり取りの先は武枝さんに託したい」という想いも伝えました。武枝さんにもご快諾いただき、私のホームページの管理をしていただいているweb制作のプロであり友人のhibiさん(通称)に協力をお願いしました。3人で打ち合わせを重ね、この素晴らしい新ページ(新たな舞台)が立ち上がりました。hibiさんには今も大きなサポートをしていただき、私たちにとって強力な仲間を得ました。感謝でいっぱいですね。

武枝)考えてみれば、いざという時に助けて下さる方との出会いがたくさんたくさんありました。前からお付き合いのある方でも、結束力がより揺るぎないものになっていますよね。私はhibiさんとはお目にかかったこともないのに、東京と大阪にいながらにして3人でZOOM通話で打ち合わせをした時も、一声で通じ合ってしまいました。その後もずっと、親身に敏速に対応して、新たな舞台を盛り上げ、底上げして下さっています。本当にありがたく、嬉しい限りです。

この私たちのやりとりのweb公開を6月20日にスタートさせたのですが、その決心を下したのには、成田さんらしい潔い理由があるのよね。そして、「もし私に何かあったら、このやり取りの先は武枝さんに託したい」という言葉が私に告げられたことにも……
そう、5月20日の土曜日のお昼過ぎでした。成田さんからの電話を聞いた時の衝撃を忘れることはできません。

成田)はい!この日は、5月1日に切除した組織の検査結果が出る日でした。休診日だというのに、耳鼻科のI先生も出て来て下さって、結果を踏まえたお話を伺うために病院に向かいました。
あんなに前向きに頑張ったのだから、やることやりきっての入院だったのだから、「大丈夫!綺麗でした」と言われるに違いない。と思いながらも、それはどこか祈るような気持ちで、今思い返せば少し緊張していたように思います。

結果は…、広範囲に切り取った副鼻腔の組織から、「がん細胞が点々と見つかりました」というものでした。「一つではなく、点在している!」という言葉が衝撃でした!
I先生は「CTやMRIなどには映らなくても、細胞レベルには”ある”ということがはっきりしたのだから、内臓などに転移する前に骨髄移植に踏み切るべきです!」とおっしゃいました。それでも私は、その場で決心などつくはずもなく、「少し考えます」と言って診察室を出ました。フラフラしながらロビーを歩いていると、以前お世話になった看護師さんとばったり出会いました。

私の様子がおかしいことに気がつかれたようで、私に椅子に座るようすすめてから、その膝元に佇んで話を聞いて下さいました。私は、たった今I先生から聞いたことを泣きながら話していました。久しぶりに人前で泣きました。どのくらいの時間がたったでしょう。看護師さんにお礼を言って、フラフラと立ち上がり、救急外来の出入り口から武枝さんにお電話したのでした。電話に出てくださって、本当にありがたかったです。

武枝)このやりとりをするようになって以降、私の手帳のスケジュール欄に成田さんの通院日も記すようになり、5月20日は検査結果の連絡があればすぐに電話に出られるようにしていました。すると、今まで聞いたことのない呻きにも似た成田さんの声!立ってもいられないほど憔悴しきっているのが手に取るように分かりました。
あれほど希望を抱いて、わくわくしながら新しい扉を開いた成田さんに、またしても喉元に刃が突きつけられてしまった。私はただただドクターからの話の内容に耳を傾けることしかできませんでした。でも、話しているうちに、どんどんいつも通りの成田さんの声に変化していったのよね。

3月21日にも、手術日の相談に行ったにもかかわらず、耳鼻科のI先生から手術をするより骨髄移植を勧めると言われた後に電話をもらって、私たちは途方に暮れ、しばらく呆然としていたことがありましたね。でも、結局は笑いで収めたし、翌日、「こんな状況でも食欲のある自分が可笑しいです」のメールが届いたわけで、この時も、同じように盛り返すであろうことは予測できました。それが、成田さんですから。

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