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第一楽章 ~再会~ 1-1 序曲
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「生(いのち)を見つめて」とは…
2015年秋、私が悪性リンパ腫という血液のがんの告知を受けた瞬間から、何を考え、何を大切に想い、何をどう選択したのかを、時系列に綴ったものです。揺れる心模様、想像を超える出来事、素晴らしい人との出会い、自分自身についての発見…。
不思議な感覚ですが、思いがけない大病の告知、その後の過酷な治療を受けながら、一方でこれまで感じたことのない感謝と幸福感を味わいました。当たり前にあったものが当たり前でなくなった時、命の輝きを実感することが出来たように思います。私が「生(いのち)を見つめて」見えたことを忘れないよう、自分の心の中を言葉にしました。
「キセキの対談」とは…
武枝幸子さんと私は、30年以上前に大阪のテレビ局で出会いました。月〜金の生放送で、私は司会者、武枝さんは構成者として一緒に仕事をしました。初対面から意気投合し、美味しい食べ物とお酒が大好きな私たちは、二人で朝方まではしご酒をしては大いに笑い語り合いました。私にとっては、笑いのツボはもちろんのこと、笑顔の奥にある憤りや悲しみ、社会的通念に対する違和感まで、手に取るように分かり合い、それを笑い飛ばしながら話せる“唯一無二の関係”でした。
それはまさに、“キセキの存在”
でも、番組が終了し私が仕事の場と住まいを東京に移し、だんだん会う機会も少なくなって、いつしか長い年月が流れました。
そんな時、私の病気を知った武枝さんから20年ぶりに電話をいただき、突然再会の機会が訪れたのです。会ってみれば、昔と変わることなく、心が痺れるほど感じ合える言葉のやり取りが心地良く、気付けば「病気を通して感じたことを武枝さんとのやりとりで書きたい」とお願いしていました。
こうして、「書くこと」で自分の言葉を探し求めてきた武枝さんと、「話すこと」で自分の言葉を表現したかった私のやりとりが始まりました。構成もゴールも決めず、二人の感じたままにやりとりする中で、私はあらためて自分自身を深く知ることができました。
30年以上前に二人が出会った時も、今回の再会も、目に見えない大きな力が二人を引き寄せたように感じています。
だから、「キセキの対談」。
人生には、誰にも等しく様々な困難が訪れます。たまたま私は、その一つが病気だったというだけのことです。これは闘病記ではありません。二人の生き方を通して織りなす言葉のやりとりから、今生きている「生(いのち)」について何かを感じていただければ幸せです。
人生は、どんな時も愛と希望に満ち溢れています。
On Air代表 スピーチコンサルタント/ 声のマネジメント
(株)リクルートの正社員から、TVキャスターに。
「これが問題!土曜8時」メインキャスター、「金子信雄の楽しい夕食」ほか、報道・情報番組の司会、著名人インタビューなど、四半世紀メディアの第一線で活動。
現在は、スピーチ指導・会話のための笑声(えごえ)®レッスン・講演・執筆など。またワークライフバランスやプレゼンスを扱うコーチングが定評。
関西を拠点にテレビ・ラジオ番組の構成(情報番組、ドキュメンタリー、寄席、クイズ番組 など)
新聞(随筆、小説、インタビュー記事、対談 など)
雑誌寄稿(食、旅、音楽関連 など)
食の月刊誌「あまから手帖」に小説「田辺聖子作品を食べる」を6年間連載。
「各駅停車 全国歴史散歩 大阪府」(河出書房新社)記事担当 ほか。