第二楽章 ~心模様~

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2-2 叡智の歯車の音がする

武枝)Y子さんとM子さんの話を一気に聴いて、私ね、お二人を表すにふさわしい言葉を探してさ迷いました。そして、見つけました。これが「叡智」ということなのだと。
すでに連帯・連動していたY子さんとM子さんの叡智の歯車が、一人で考え、決断し、実行してきた成田さんの歯車と噛み合った!その瞬間の音が聴こえ、そして新たに繋がった歯車がゆっくり回り始めている映像がイメージできました。不安におののき、思考が停止するほどの恐怖の中でも、なんとか踏ん張って一人で回してきた成田さんの歯車に、2人の女性の叡智の歯車が繋がった!これは強力ですねえ。

facebookにグループを作って、入院中に必要な物をスマホからグループに投稿すれば、時間のある方がお買い物をしてくださるというシステム、何という素晴らしいアイデアなのでしょう。
自分が味わった苦しかった経験、辛かった経験、心細かった経験を、苦労話にするのは簡単だけれど、Y子さんM子さんのように、文明の利器もフル活用しながら、無理のない形で連帯できる手立てを考え出す知恵と実行力に、頭が下がります。その上、facebookグループに「強運レデイース」と名づけるあたり、お2人には、ユーモアというか、余裕まで感じられます。

そして、病気を見つけて下さったドクター、緊急入院した時の当直だった女医さん、耳鼻科 、血液内科、循環器内科……の諸先生方、看護師さん、いろんな人たちの叡智の歯車が順次重なり合って、成田さんの命を繋いでくださったのでしょうね。

成田)そうですね。強運レディースやお世話になった医療のプロ達のお顔を思い出すと、カチッカチッカチッと、幾つもの歯車が重なり合った音が聞こえてくるようです。

武枝)「さあ、本番だ」って!患者のプロとしての日々が始まるのですが、共に病気と闘ってもらえるようなドクターとよくぞめぐり会えましたね。

成田)”めぐり会えた”という言葉は ぴったりだと思います。人生には、節目節目に大切な出会いがありますが、それはお一人との偶然の出会いではなく、ご縁が巡り巡って出会うべき人に出会っているのではないかと思います。
今回の私の場合、最初の耳鼻科で「いつ治るんですか!」と啖呵を切って飛び出し、友人のご主人(医師)の親友がたまたま耳鼻科のドクターだったことから現在の耳鼻科の主治医をご紹介いただき、「最後まで責任を持って診ますから」と球場で小石を探すような発見困難な敵の正体を見つけて下さり、最終的に血液内科のドクターに繋いで頂きました。もともと医師の知り合いなど一人もいなかった私です。

奇跡の繋がりループですよね。だから、その流れに委ねようと思いました。だいたい告知を受けたばかりで動揺覚めやらぬ患者にとって、病院選択の余裕などありません。戸惑っている私にドクターは、「よくお考えになって、ご希望の病院があれば紹介状を書きますが、ここの病院はチーム医療を目指していますから、耳鼻科もタッグを組んで一緒に診ていきますよ」と言われました。「チーム医療!」「タッグを組む!」。この2つの言葉に反応した私は、この病院でお世話になろうと決めました。大学病院などでは、情報が科毎に管理されていて医師間の垣根も高いと聞きます。

その点、私が入院していた病院では、診療科の垣根なく患者情報を共有していて、別の科のドクターとも、気さくに会話をされていました。そのことは患者にとって、医療のプロ達が力を合わせ自分のために全力で闘って下さっているような安心感と心強さを感じました。また、この病院では、主治医対患者ではなく、主治医を中心に複数のチームで一人の患者に関わって下さるので、私が緊急入院した日も、すでに私の情報を共有していたチームの女性ドクターが「成田さんのことは聞いています」と、余裕で出迎えて下さったのです。そのことは、後で知りました。
この「チーム医療」の考え方は、これから病院選びの大きなポイントになってくると私は思います。大病院のブランドや一人の権威ある医師の名声で病院を選ぶ時代ではなくなっています。まだまだ、患者側にも権威や名声に頼る意識が根強いと思います。

武枝)病院選びは本当に難しいことだと思います。病気になって初めてその病院や医師のことが分かるというのが現実ですから。改めて思うのは、病院選びひとつを取ってみても、やはり、その人が何を一番大事にして生きているかが表れるかもしれません。
権威?名声?それとも……

成田)私が病院やドクター選びで大事にしたことは、一言で言うと「コミュニケーションできるかどうか」でした。この病院では、関係する各科の担当医、看護師、さらに薬剤部も加わって定期的なミーティングが行われていました。医療のプロの英知を結集した上で、最終的には患者の意思が尊重されていたんです。そして入院中は毎日、チームのドクターが入れ替わり立ち替わり病室に来てくださり、私と会話をして下さいました。

そしてその会話がまたチームで共有されていました。このことが信頼関係に繋がり、「自分のことは自分で決める」という、私のプロ患者意識が高められたと思います。主治医任せではなく、”チームの主役は患者である私自身”なのだと感じさせて貰いました。そこで自分の中で勝手に、「チーム成田」と名付けていました(笑)私が自分の体の最終責任者ですから。

武枝)モノでも現象でも、その存在が誰かに気づかれるまでは無いに等しく、名前すらつけられないまま、この世から消えていったものもあるでしょうけれど、成田さんのように、決意する時の気持ちにも名付けをすると、目的やすべき事がより明確になると思います。「チーム成田」と銘打つことで、結束がより強くなったことでしょう。

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